介護の一工夫
ケアコート日誌

自助具とベテラン

人に教えるというのは、自分にとっても学びが大きい、そう感じることがあります。
決して(というよりまったく)得意ではないですが、事前に何か曖昧になっていることはないか、ユニットで吟味し、統一できるところはしてみたりしています。

業務を教える、という形をとるなかで、何を大事にしているのか、言葉で、ケアの中で伝える・・勤務後に、うまく伝えられなかったな、と力量を思い知らされることも多々あります。

新入職の方に教える場面では、時に緊張感もあるなかで、ハプニングが起こったりもします。以前、服薬介助の手本を見せる場面で、「いったい、何の薬ですか!」と入居者の方に拒否されてしまい、私自身困ってしまったことがありました。その方は絵が上手な方で、その日も絵を描かれて、一緒にお話したことを思い出しつつ・・「び、美術のお薬です!」と言ってみたところ、その方の表情がやわらぎ、お互い大笑いに。笑いがなかなかおさまらず、そのあと普通に服薬される、ということがありました。

長く勤めると、ベテランというくくりに入ったりもしますが、あまり意味はないと思います。今、どういう状態で、何を見て、どう行動しているか。自身のコンディションを体感しつつ、どう仕事と向き合っているのか。今がすべて、そう感じたりもします。

さて、本題・・今回は、日常の出来事の中から。
食事の場面でのこと。
『上手く箸が使えないようで、ご本人が食べづらそう・・。』
そんな入居者様の変化に気がついたのは、新人というくくりに入る、新入職員さんでした。

確認すると、確かにその通りで、箸の1本が手から落ちて、1本で食べようとされていることもありました。
何か箸に補助的な機能があれば、という印象で、栄養士さんに連絡。自助具的な箸が、あったはず・・さっそく栄養士さんが倉庫から探して、その箸を持って来てくれました。

ただ、ご本人には合わなかったようで、上から握る感じになってしまう。
ちょっとしたことなんだけどな、と思いつつ、周りにあるもので、作成。

自分で使ってみると、上手いことバネが効いて意外と使える。いわゆるダブルクリップの、ワイヤーレバー部分にはしをはさんだだけ。なので、力加減で、箸がずれてしまうこともあります。
これを実用に、ということではなく。
これくらいのイメージのもの、と説明して、介護用品で探してもらい、購入という流れを考えての作成。
そうやって、試したり何かしてみたりしているうちに、情報が集まることも、よくあることで。
100均でも自助具的な商品があるよ、との情報を入手。
それなら、と自分で調べてお店で購入。

箸の上にカポッとはめると、箸を持つのをサポートしてくれます。
実際使って頂くと、波はありますが以前よりはだいぶ食べやすくなった印象でした。

変化に気づく、合わせる。そんな日常の風景。気づく人に、何か気づかされたり。
今回は、この辺りで。

ちなみに、“ベテラン”という言葉で連想するのは、“慢心”だったりします。
この2つが紐付いたときは、こわいな、と。自分ではそのつもりはなくても、何かの出来事で、そういう面があったな、と自覚せざるを得ないことがあります。
(最近、自分にもありました・・)
良い意味を持たせるのも、マイナス面を出してしまうのも、結局、自分自身、自分次第なんだなぁ、と思います。自戒を込めつつ、また、更新できるときに。

文頭のエピソードや写真は、ツイッターで、ツイートした内容でもあります。
随時ではありますが、ツイートもしております(*^-^*)

お読み頂きありがとうございました。

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